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「特定技能」 基本⽅針の変更 閣議決定

平成31 年4 ⽉に開始した特定技能制度、早いもので5 年が経ちました。開始してまもなく、コロナ禍による⼊国制限もありました。この5年間の間にも⼈数枠の変更や可能な業務の変更等多々変更がありました。今回については⼤幅な基本⽅針の変更となっております。主な変更点は次の通りです。

・特定産業分野 新たに4分野追加

特定技能外国⼈は⼈⼿不⾜の産業と政府が定めた分野にのみ⼊れることが可能となっております。今回の閣議決定により、対象となる分野が増え全部で16 分野となりました。
新たな分野は、⾃動⾞運送業分野・鉄道分野・林業分野・⽊材産業分野です

⾃動⾞運送業分野ではトラック、タクシー、バスの運転⼿、鉄道分野では運転⼠を含む運輸係員や軌道整備、⾞両製造、⾞両整備等の業務での受け⼊れが可能となります。林業分野では育林、素材⽣産等、⽊材産業分野では製材業や合板製造業など⽊材加⼯業での受⼊れが可能となります。

・受⼊⼈数枠の拡⼤

1号特定技能外国⼈数の受け⼊れ⾒込み数につき、再設定されました。基本的には受け⼊れ⾒込数は、受⼊れ上限数として運⽤されます。
令和6年4⽉から向こう5年間の受け⼊れ⾒込み数は82万⼈となりました。前回(H31.4〜R5.3)までの⾒込み数の2 倍以上です。

参考︓ 制度開始時の向こう5 年の受け⼊れ⾒込数 345,150 ⼈
令和5 年12 ⽉速報値 受け⼊れ⼈数(特定技能1 号在留者数)208,425 ⼈

・⼯業製品製造業分野  新たな業種追加&業務区分あり︕

素形材・産業機械・電気電⼦情報関連製造業より名称変更が決定しました。分野統合した経緯もあり、名称⻑すぎだったからですね、と思っていたらそれだけではありません。旧名称には収まらない新たな業種が追加されています。
【今回新たに追加された業種】
●鉄鋼業

●⾦属製サッシ・ドア製造業

●プラスチック製品製造業

●紙器・段ボール箱製造業

●コンクリート製品製造業

●陶磁器製品製造業

●繊維業

●⾦属製品塗装業

●RPF製造業

●印刷・同関連業

●こん包業

参考:【従前からの業種】素形材産業、産業機械製造業、電気電⼦情報関連産業、⾦属表⾯処理業

これまでは技能実習から特定技能へ移⾏対象とならない業種でしたが、特定技能に移⾏できるように計ったものと推察されます。これにともない、対象となる事業所の追加(すなわち⽇本標準産業分類の番号の追加)が予定されております。すなわち鉄鋼業、アルミサッシ、プラスチック製品、⾦属製品塗装、こん包関連業で就労することが可能になります。こちらに関しての詳細はまだ公表されておりませんが、上乗せ告⽰(所管省が受け⼊れにあたり独⾃の条件を付すこと)があるようです。今後の告⽰の改正で明らかになることと存じます。

・飲⾷料品製造業

⾷品スーパーマーケット、総合スーパーマーケットの⾷品部⾨における総菜製造での受け⼊れも可能となります。

・造船・船舶⼯業

業務区分の再編及び作業範囲が拡⼤され、柔軟な業務従事ができるようになります。

詳細︓ 出⼊国在留管理庁ホームページ
トップページ> 在留⼿続> 特定技能制度>閣議決定等>特定技能の受⼊れ⾒込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3⽉29⽇閣議決定)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri01_00132.html

2024年03月29日

入管法改正案 国会提出

入管法改正の法律案が提出されました。入管法は毎年のように法改正がありますが、今回は大改正となります。改正案の内容の一部をご紹介します。


・在留資格 「育成就労」の創設(「技能実習」は廃止)
技能実習法を改正し、育成就労法になる予定です。技能実習機構は育成就労機構へ、監理団体は監理支援機関へ名称も変わります。
・不法就労助長罪の刑事罰 厳罰化。
・「永住」の厳格化 取り消しについての運用を広げる。  
・「企業内転勤」2号 の創設。
詳細(法律案および概要)は下記からご覧いただけます。


詳細:出入国在留管理庁ホームページ 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案概要 一番下のほう、関連情報という欄にあります。
https://www.moj.go.jp/isa/policies/conference/03_00033.html

2024年03月15日

当面の間

「当面の間」という言葉を耳にしたことはありますか?
〈具体的な期間はまだ決められないので(定めていない)ので、しばらくの間はこのままの状態にします〉という意味で使用されていると理解しています。法改正施行後、『当面の間は・・・とする』と移行期間の暫定措置をとることがしばしばあります。
では、具体的に当面の間とはどのくらいの期間をいうのでしょうか。なんとなく2~3年位でしょうか。

当面の間と聞いて私が真っ先に思いつくことは、永住許可申請ガイドラインです。要件として『現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること』とされていますが、注釈があり、『本ガイドラインについては、当面、在留期間「3年」を有する場合は「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱う』と記載があります。つまり、当面は3年でも永住申請の最長在留期間の要件を満たすという運用をしますよ、ということです。しかし、在留期間「5年」ができたのは2013年の法改正時です。10年経った現在もこの運用が続いております…。

2023年12月22日

みえてきた≪新制度≫ 育成就労?! & 特定技能

現行の技能実習および特定技能の制度改正を行うにあたり昨年11月に設置された有識者会議は、16回に及ぶ議論を終え、先月末ついに関係閣僚会議へ最終報告書が提出されました。この報告書をベースにしてさらなる議論と検討がなされ法整備が進められることとなると存じます。まだ具体的に詰められていない箇所も多くありますので最終的にどう法制化されるかは、まだまだ不確定ですが、以下に読み取ったことまとめてみました。

◎最終報告書の内容
キーワードは「人権」・「キャリアアップ」・「共生社会」です。
外国人の人権を守りつつ、日本で中長期に活動できるよう(優秀な、やる気のある人材には残ってもらえるよう)に筋道をたてる(キャリアパスを描く)。そして、日本社会で安心して暮らしていけるよう、外国人との共生社会を実現する。国際的な理解を得られる制度にして、日本を就労先として選んでもらえるようにする。これらを実現するためにどうすればよいのか?

実現のために必要な事として、具体的には以下の3点を柱に掲げています。

『人権保護』 

→転籍可能、監理団体、登録支援機関受入れ機関等の要件厳格化

『選んでもらえる仕組みづくり』

→キャリアパスの明確化  

『共生社会の実現』

→日本語能力

◎行政書士目線でポイントを箇条書き
・現技能実習制度は、実態に即した形にするため、制度目的を人材育成と人材確保に変更する。
・技能実習制度という名称はなくなる。『育成就労』という名称を報告書内で提案した。(以下、育成就労という。)
・育成就労(仮称)での在留可能な期間は最長3年になる方向。(現技能実習制度は最長5年)
・ステップアップは、育成就労(3年)→特定技能1号(最長5年)→特定技能2号(更新制限なし)を枠組みとする。
・育成就労から特定技能への移行要件に試験を組み込む。現行では「技能実習2号の良好修了」を要件としているところ、「技能検定試験(3級レベル相当)と日本語試験合格(N4レベル相当)」を要件とする。ただし当面の間は移行期間として講習受講で可とする特例措置を設ける。
・特定技能1号から特定技能2号への移行要件には、「特定技能2号評価試験と日本語試験(N3レベル相当)」とする。ただし分野ごとに要件の上乗せを可とする。
・育成就労の受け入れ対象分野は新たに設定する。育成就労と特定技能と分野を一致させる。
・育成になじまない分野は除外する。
・育成就労ではキャリアアップの観点から、現行の技能実習制度よりも幅広い業務に従事することができるようにする。
・育成就労期間中の自己都合による転籍を条件付きで可能とする。
・監理団体、登録支援機関の要件、体制等を見直し、これら関係機関の監理・保護・支援の役割を厳格化する。また、労基署等関係機関との連携を強化することで、法令違反等に厳格に対応する。
・育成就労についても、受入上限数を設定する。
・企業単独型技能実習については別の枠組みを設けることを検討。

◎最終報告書の概要及び全文は、下記サイトからご覧いただけます。 
出入国在留管理庁 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議:
https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00033.html

2023年12月21日

特定技能2号評価試験 製造分野

製造分野の特定技能2号評価試験について、日程等の案内が公表されました。まだ2号評価試験のサンプル問題は公表されていませんが、今後このページに掲載されるもようです。

2号評価試験は日本国内のみの開催です。

このほかにも、別の試験合格と実務経験の要件があります。


着々と2号の受入れ準備が進められています。

 

特定技能外国人材制度 製造分野特定技能2号評価試験

https://www.sswm.go.jp/exam_f_02/

12/10追記 

本記事を書いた1週間後に、経産省管轄の製造業分野 特定技能2号評価試験は開始されました。

試験申込にあたり、実務経験証明書を提出する必要があります。詳細は下記ページよりご確認いただけます。

https://www.sswm.go.jp/exam_f_02/examination_index.html

2023年10月11日

特定技能外国人数 令和5年6月 速報値

特定技能外国人数について、6月末時点での速報値が発表されました。

発表によると、日本に在留する特定技能外国人数は下記のとおりです。

特定技能1号:173,089人

特定技能2号:12人    

特定技能2号外国人は、来年あたりの改正(分野別運用方針の変更)により、対象分野が拡大されれば、増加すると思います。3年後にはどのくらいの人数になるのでしょうか。政府は何人ぐらいとお見込なのでしょうか。気になります。

 

「特定技能在留外国人数の公表」https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

2023年09月08日

特定技能 製造業分野 令和5年度試験

令和5年度試験より特定技能試験の変更について

主な変更点は次の通りです。試験受験料の大幅アップと合格証発行手数料も有料になります。そのほか、これまで溶接の試験はリアル実技試験でしたが、試験区分統合に伴いペーパー実技試験になるようです。

  • 試験区分の変更  19区分→3区分 
  • 言語変更(海外での受験の場合)現地語→日本語の試験問題。
  • 受験料大幅アップ  2000円→8000円
  • 合格証明書発行手数料有料化  0円→15000円(本年7月~)

 

詳細は経済産業省協議連絡会HPにてご確認いただけます。

2023年06月08日

技能実習運用要領R5.4改正のポイント

もはや毎年恒例といえる技能実習の運用要領改正です。今年も公表されました。


次回の監査時の確認ポイントとなりうるので、おもな変更点をまとめました。

・監理団体の業務運営規程(監理費を含む)を原則インターネットで公表(6月以降)
・監理団体事業所の設置場所の中立性確保について明文化
・監理費の徴収について、「預託」という概念を明示 
・管理責任者等の履歴書、常勤証明が原則不要となり、誓約書と就任承諾書を提出
・管理責任者講習等の養成講習;対面形式から原則、非対面形式へ
・技能実習計画中断後の再開手続き簡素化;新規の技能実習計画認定から技能実習計画の変更認定へ


参考:厚生労働省HP 技能実習制度運用要領

 

Q 運用要領とは? 

~技能実習運用要領~

技能実習に関する法令等の解釈が書かれたマニュアルです。法律や規則等に記載されていない事項について、実務上どう考え、対処したらよいかが書かれています。技能実習機構はこの運用要領を基に審査、監査を行いますので監理団体の方におかれましては必読の書となります。

2023年05月15日

⾼度⼈材系~4月より新たに運⽤開始されました~

① 特別⾼度⼈材(J-Skip)

⾼度専⾨職(1号)に特別枠ができました。⼀定の学歴、職歴、年収があればポイント計算をしないで、在留資格が付与されます。 ⼀定の要件には年収2千万円以上(経営者は4千万以上)などハードル⾼めです。在留期間は初回から5年です。

 

② 優秀な海外⼤学等を卒業した者が起業活動・就職活動を⾏う場合(J-Find)


在留資格は特定活動です(告示51号)。優秀な⼤学等(該当⼀覧リストあり)を卒業、学位取得し、⽇本において「就職活動」⼜は「起業準備活動」を⾏う場合です。ちなみに⽇本の⼤学では東京⼤学、京都⼤学のみ該当します。

詳細は下記、入管庁ホームページにてご確認ください。

https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/nyuukokukanri01_00009.html

https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities51.html

2023年04月28日

特例期間の説明

審査にこれまで以上に期間を要するようになりました。特例期間への理解が必要です。

在留カードを所持している方が,在留期間更新許可申請又は在留資格変更許可申請(以下「在留期間更新許可申請等」という。)を行った場合において,当該申請に係る処分が在留期間の満了の日までになされないときは,当該処分がされる時又は在留期間の満了の日から二月が経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は,引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留できます。

 

 

 

ポイント

・申請すると、在留期限が2か月延長されます。その間、現に有する在留資格の範囲内での就労は可能です。

・例の場合、7月28日までに許可を受けないと、不法残留(オーバーステイ)となります。

注意

・在留カードを見ただけでは、申請中であることがわかりません。

・オンライン申請の場合には受付メールで、窓口申請の場合には在留カードの裏面右下に小さい申請中のスタンプが押され、申請中であることが分かります。

・警察官によっては、特例期間を知らない人がいます。

・特例期間中の出国は、できるだけ避けたほうが無難です。国にもよりますが、飛行機に乗せてもらえず、日本へ帰国できないことがあるからです。

・最近、特例期間中に銀行口座が凍結され、カード引き落としなどができなくなるケースが発生しています。


2023年04月19日

人手不足は現場で起こる 入管こそ人手不足?!

 人手不足は現場で起こる  ~入管こそ人手不足?~
コロナ前に人手不足を解消するための外国人受入を可とし、在留資格「特定技能」ができました。コロナで一旦は減少した海外との往来も再開し、煩雑な水際対策もなくなり、再び入管は人手不足に陥っていると感じます。人手不足になるといったい何が起こるのでしょうか?私を含め、多くの行政書士が実感していることは以下の通りです。
・審査期間が長くなった。
・東京入管管内(特に品川)はとにかく電話がつながらない。
・ミスが増えた(オンライン化による混乱を含む)

入管の審査期間がとにかく長い今日この頃です。企業からも、申請人本人からも「まだですか?」と何度も確認されます。確かに、我々からみても全体的に非常に遅いです。
行政手続きには標準処理期間を設けるよう法で決められています(行政手続法)が、 入管法はこの手続き法から適用除外として外されています。つまり入管は処理期間がいくら長くなろうが、行政手続法上は問題とならないのです。
 体感ですが、現在かかっている処理期間(東京入管管内)
・在留資格認定証明書交付申請 4か月以上
・在留期間更新許可申請   1~2か月
・在留資格変更許可申請   1~2か月
転職なしの更新であっても2か月近くかかっています。(いままでは通常2週間程度でした)

行政における人手不足は、我々私人に、サービス低下として跳ね返ってくることを実感しました。
改善策としては、人員を増やす・審査を簡単にする(審査基準の明確化、数値化、裁量権の縮小)などが考えられます。しかし、審査で求められる資料は増加傾向であり、これに逆行しているとさえ感じます。


◎在留期間更新・在留資格変更申請時の取り扱い
【特例期間とは?】
例えば在留期限が1月12日までの人が1月6日に入管で在留期間新申請をした場合を例にします。審査は通常は1週間では終わらないので、在留期限までに申請すれば、最長2か月間在留期限が延長されます(2023年3月12日までとなります)。これを特例期間とよびます (入管法20条6項で明文化されています)。
裏を返せば、入管は2か月以内に審査結果を出さなければならないのです。この2か月を過ぎたら、たとえ申請中であったとしてもオーバーステイ(不法滞在者)となってしまいます。


2023年01月11日

イメージの話 

~ビザもイメージが大事? 技能実習、特定技能、特定活動~

最近、イメージの重要性を感じます。イメージとは、『心に思い浮かべる像や情景。ある物事についていだく全体的な感じ。心像。形象。印象。また、心の中に思い描くこと。』です。(デジタル大辞泉より)
例えば皆さんは、「外国人労働者」からイメージするものは何でしょうか。「技能実習」と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか。
イメージは心に思い浮かべることなので、人それぞれ異なります。また、イメージと実体は必ずしもイコールではありません。しかし、大多数の人が持つイメージがある程度共通の場合、そのイメージがそのものであると捉えられてしまうことがあります。イメージの力で実体より大きくみせることもできるし、逆に実体より悪く見られてしまうこともあります。

現在、技能実習制度の見直しが進められています。技能実習については、国内外ともにイメージが非常に悪いと感じます。平成29年11月に技能実習法が施行され、5年が経過しました(正式名:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)。現在の技能実習は過去の問題点を踏まえ、受入のために日本企業に求めるコンプライアンスは厳しく設定されています。技能実習制度を適正に運用している企業等は、実態とのイメージの乖離を感じていることでしょう。しかし、いまだに奴隷的拘束がなされ、最低賃金にも満たない給料で不当な環境で働かされているというイメージをお持ちの方が一定数いるようです。
 
【外国人の持つイメージは?】
日本で働く外国人は、前号で取り上げた例外的な方々を除いて、何らかの在留資格(いわゆるビザのことです。以降、ビザといいます)を保有しています。
在留カードには英語併記がされています。訳は
特定技能=Specified Skilled Worker   技能実習=Technical Intern Training
となっています。特定技能の方が、すごいスキルを持っている人の感じがしてカッコいいからこのビザに変えたいと考える技能実習生の外国人もいます。
また、特定活動は告示、告示外を合わせるとおそらく100種類くらいの集合体なので何のビザか分かりづらいです。そのせいか、一部の外国人にはイメージが良くないようです。例えば、出国準備・難民申請審査中に付与されるビザも特定活動(告示外)、高度研究職(告示36号)も特定活動です。
 イメージを変えるということは、人の心の中を変えることなので簡単なことではないと思います。
技能実習を廃止して特定技能に一本化するという話もでていますが、イメージだけでの議論にならないことを期待します。

2022年12月14日

在留カードを持たない外国人って?

 

突然ですが,ここでクイズです。
Q 日本に長期滞在をしている外国人は、オーバーステイの者を除き、在留カードを持っている。○か×か?


---正解は × です。
入管法(第19条の3)には中長期在留者に対し、在留カードを交付する旨が記載されていますが、一部除外となる者=在留カードを所持しない外国人が存在します。具体的には下記の方々は、在留カードを持っていません。

1)在留期間が3か月以下の者
2)「短期滞在」の在留資格を有する者
3)「外交」又は「公用」の在留資格を有する者
4)「特定活動」の在留資格が決定された台北中日経済文化代表処もしくは駐日パレス チナ総代表部の職員又はその家族の方
5)特別永住者
6)在留資格を有しない人 等  (SOFA日米地位協定による滞在者 を含む)

【実録 先日、銀行で実際に遭遇した場面】
あるフィリピン人が銀行窓口にて自分の銀行口座を解約しようとしていました。窓口職員から、本人確認のために在留カードを見せてほしいと言われていたのですが、その外国人は穴の開けられた在留カードのコピー(在留資格は「定住者」)を見せていて、これしか持っていないとつたない日本語で説明しています。窓口の人は、ビザ更新中であると考え、「更新できたらまた新しい在留カードを持ってきてください。」と案内していましたが、どうやら様子がおかしい。たまたま隣に居合わせたので話に加わると、その方はSOFA(日米地位協定にもとづき日本に滞在する者)のIDを持っていました。
ここまでお読みになっておわかりいただけたでしょうか。
この人は、「定住者」として日本に住んでいました。米国軍人または米国軍関係者と結婚したためその家族としての身分でSOFAとなり、ゆえに定住者の在留資格ではなくなりました。代わりに窓口の人に説明して一件落着となりました。

このように、合法的にもともと在留カードを持っていない長期在留者も存在しますが、一般にはあまり知られていません。

2022年10月24日

特定技能 受入人数上限数他、一部変更 閣議決定

8月30日に特定技能の在留資格に係る制度の運用方針について一部変更の閣議決定がなされました。

 

【主な変更点】

○各分野の受け入れ人数上限数の見直し 

  宿泊・外食業など9分野で人数枠減少、製造業・飲食料品製造業は増加しました。 

 

○製造業分野

業務区分および特定技能評価試験区分を整理し、鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工などの19区分から❶機械金属加工❷電気電子機器組立て❸金属表面処理の3区分に統合整理されました。

ポイント:統合により、同一区分内にある業務であれば、その中のいずれかの試験合格で業務に従事することが可能になりました。極端な例ですが、機械金属加工という業務区分に入っている「鋳造」の試験に合格すれば、同じ区分にある「ダイカスト」の業務に従事することが可能です。技能実習2号良好修了者についても同様の考え方です。例えば、❶機械金属加工の職種「鉄工」を良好に修了した者が特定技能で「溶接」に移行することも可能です。ただしこの場合には必要に応じて当該外国人に訓練や各種研修を実施するよう求められます(労災事故の防止、安全衛生の観点からすれば当然のことですが、受入企業の提出する誓約書にもこの内容が盛り込まれました)。

◎詳細は、経産省HP 特定技能外国人材制度(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)の「最新情報」でご確認いただけます。
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/gaikokujinzai/index.html

○建設分野

業務区分及び特定技能評価試験区分を整理し、19区分から❶土木❷建築❸ライフライン・設備の3区分に統合整理されました。特定技能外国人のできる業務範囲については、建設業に係るすべての作業が可能となりました。これまでは業務区分から外されていた電気工事や塗装、防水施工なども可能です。

◎詳細は国土交通省HP よりご確認いただけます。https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk3_000001_00002.html

    

○自動車整備分野

道路運送車両法改正(2020年4月施行)に対応し、運用要領等に記載の分解整備という文言が、特定整備となりました。特定整備についての詳細は下記、国土交通省HPをご参照ください。電気制御装置整備が含まれたということです。

参考: 国土交通省HP 「自動車特定整備事業について」

  https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000016.html

 

☆特定技能2号の対象分野について変更はありませんでした。

 

2022年09月01日

特定技能外国人数 速報値R4.6月末時点

特定技能外国人数 入管庁サイトで公表されました。

https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri07_00215.html

この資料によりますと、6月末での特定技能外国人数は、製造業分野は17865人です。受入上限数は旧3分野を合計した31450人です。(6月末時点で56%受入済みということになります)
ちなみに3月末時点では、3分野合計で13207人(41%)を受け入れていました。

2022年08月29日

規制改革de進む オンライン申請

本年6月7日に≪規制改革実施計画≫令和4年版 が閣議決定されました。

この規制改革のなかで、行政手続きのオンライン化が推進されています。各種申請のオンライン化は我々の業務にも直結しており、これまでは管轄の地方窓口まで申請に行くことが必須であったところ、オンラインで完結するというのはまさに技術の進歩、そして行政の考え方(オンライン化へ取り組む姿勢)の進歩を感じます。
言うまでもなく、これらデジタル化を後押ししたのはコロナ禍でしょう。これまで行政側は、「オンラインでも一応手続きできますよ~でも分からなかったら窓口で申請して下さいね!」という構えでしたが、これからはオンライン手続きをメインの手法とすべく、改革しているのです。
規制改革実施計画については、以下の内閣府サイトまたは首相官邸ページより閲覧できます。100ページ程のボリュームで、ごく近い将来の取り組みについて期限を設けてかなり細かく記されています。いま、どんなところに国は問題意識を持ち、そして見直していて、今後どのような方向に動いていくのかを読むことができるので、大変興味深いです。
「行政手続きのデジタル化の基盤整備」、「オンライン化の推進」、「ローカルルールの見直し」、「行政手続きにおけるキャッシュレス化の推進」など、行政書士として気になる項目がたくさんありました。

参考;内閣府サイト  規制改革 公表資料
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/p_index.html

2022年08月05日

原本の重み

これからは「原本を必要としない社会」が到来するのでしょうか。

コロナの影響もあり、最近は行政への申請が窓口申請から、オンライン申請・郵送申請がますます広まっています。

オンラインで手続きでは、多くの場合、添付書類はすべてPDF送付となります。

これまで行政は真正性の問題から、原本提出(または原本提示)を求めていました。オンラインで完結するには紙の書類が原本である以上、戸籍謄本、登記事項証明書、卒業証書、有資格者証も写しでよいということになります。

今後は写しで足りるのであれば、原本の重みは軽くなっていくように思います。押印廃止なども含め、全ての手続きがデジタル化する前の過渡期の行政手続きということを理解し、そこに潜むリスクも認識しつつ、利便性を享受したいと思います。

2022年04月22日

オンライン申請

2022年3月16日、入管在留諸手続きのオンライン申請は全面解禁されました。


オンライン対象となる在留資格も拡大し、我々行政書士は、自分の名前(取次番号)で利用者登録ができるようになりました。これは私たちにとって画期的で一気に利用ハードルが下がりました。行政書士や弁護士に依頼する企業あるいは個人にとっても自身で利用登録をする必要がなくなり、事前準備が不要となりました。そして混雑で延々と待たされる入管に行かなくても済むことは最大のメリットです。

【利用するメリット】
1.更新申請や変更申請時にパスポート原本と在留カード原本をお預かり不要 (許可時に旧在留カード原本返却必要です)
2.許可時の受取も郵送可能(証印を必要とする申請は除く)
3.入管窓口での待ち時間の減少
4.全国どこへでもオンライン申請できるので地方入管へ足を運ばずに申請できる
(ただし一部の申請を除く)


【オンライン申請を実際に行ってみた感想】
今回の全面解禁で以前のオンライン申請システムからはほぼ改良されていないようで、システム改善の余地は大きいです。例えば、1件ずつのオンライン入力での申請では一時保存ができません。よって1件であっても一括入力のエクセルシートを使ったほうが途中でデータが消えるようなことにならず、安心です。しかしこのエクセルシートがデータベースの作りそのままで、横に長く続くシートになっており、とても入力しづらいです。

【問題点】 ~オンライン化を急ぎ強行した結果で浮かび上がる問題~
本人の署名不要 
取次資格を持たない者(悪徳ブローカーなど)が本人になりすまして申請することができてしまう。

所属機関の押印不要
退職したにもかかわらず、勤務を続けていることにして更新申請することが容易にできてしまう。
(これは押印廃止となった紙申請でも同じことがいえます)

2022年03月30日

出入国情報  2022.2.24付公表

 

新たな水際対策

昨年11月の認定証取得制度はこちら(ERFS)に代わりました。

厚生労働省 新たな水際対策(27) 

以下、参考リンクです(厚生労働省ページ内)。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24101.html

 

2022年03月01日

在留資格と就職

~就労ビザとりたいんですけど~

日本に「就労ビザ・ワーキングビザ」という種類のビザはありません(正確には在留資格といいます)。しかし一般には分かりやすく、あるいは分からずにこうよばれています。

在留資格は活動内容に応じて日本に滞在する外国人に付与されます。在留資格は1人に1つで、重複して持つことはできません。

多くの就労系の在留資格は、基準省令で定められており、業務内容、学歴、実務経験年数、保有資格、給与等の要件があります。
内定を出しても、入管の許可が下りなければ就労できず、つまり会社側は雇用することができません。そして審査期間は法で定められておらず(入管法は行政手続法より除外されています)、入管次第ですので新卒枠で入社日が決まっていたとしても、その日までに許可が出るとは限りません。よってビザについては早めに検討したほうがよいですね。雇用契約書には「本契約は入管の許可を条件とする」という一文を入れることをお勧めします。

2022年02月14日

出入国情報 2022.1.11付公表

外国人の新規入国制限は、2022年2月末までに延期されました。

在留資格認定証明書の有効期限の取り扱いも変更(再延長)されています。

参考リンク 

入管庁 外国人の新規入国制限の見直し(R4.1.11)

https://www.moj.go.jp/isa/content/001347329.pdf

入管庁 在留資格認定証明書の有効期間に係る新たな取扱いについて

https://www.moj.go.jp/isa/content/930005022.pdf

 

2022年01月12日

出入国情報 2021.11.29付公表

新たな変異株(オミクロン株)の出現により、日本では再び入国制限をすることとなりました。

できるだけ簡潔にまとめます。

・11月8日から開始された新たな水際対策、入国制限の緩和は12月31日までの間一時停止。

・各省庁での事前審査及び審査済証の交付を12月31日まで停止。

・上陸拒否対象国・地域:160の国・地域 ただし、対象地域以外であっても査証発給制限あり。

・上陸拒否でも上陸できる場合(=特段の事情有る場合にあたる)
① 再入国許可(みなし再入国含む)による再入国
② 日本人・永住者の 配偶者又は子
③ 外交・公用
④ 入国目的に公益性が認められる者

⑤ その他人道上の配慮する必要がある者 

 

今月8日、突然各省庁を巻き込む形で始まった事前審査制は運用が軌道にのらないまま停止となりました。

一時停止と公表されていますが、新規入国再開時に、同じ制度を運用するのか分かりません。制度自体が変更される可能性も十分考えられます。

今後の動向にご留意くださいませ。

参考リンク

水際対策上特に対応すべき変異株等に対する指定国・地域について
(要旨)

 https://www.mhlw.go.jp/content/000860079.pdf

水際対策強化に係る新たな措置(20)(オミクロン株に対する水際措置の強化)

https://www.moj.go.jp/isa/content/001360170.pdf

 

 

 


 


 

2021年12月01日

出入国情報 2021.11.5付公表

入管庁より新たな出入国状況が公表されました。運用は11月8日からとなります。

今回の「外国人新規入国制限の緩和措置」の対象者は、
①商用・就労目的の3か月以下の短期間の滞在、
②全ての長期間の滞在、
の入国目的(在留資格)の要件を満たす者になります。

 

◎受入企業が、事前に業所管省庁に申請する必要があります。

・観光、親族訪問目的の短期滞在は、今回の措置では認められていません。

ご参考リンク

入管庁  新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否について

https://www.moj.go.jp/isa/content/001347329.pdf

https://www.moj.go.jp/isa/content/001347330.pdf

厚生労働省 水際対策強化に係る新たな措置(19)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00318.html


 

 

 

2021年11月06日

在留資格と結婚 

 ~結婚すればビザがもらえる?生まれた子どものビザは?~

 

「結婚すれば結婚ビザがもらえる!」
そう信じている外国人の方は少なからずいます。これは誤った解釈です。確かに、日本人や永住者、一部の定住者の方と結婚した場合に、配偶者の在留資格「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」に変更申請することが可能です。また、就労系の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」「企業内転勤」など)の方と結婚した場合には、家族滞在の在留資格をもらえる可能性があります。
在留資格の種類により、妻または夫を本国から呼び寄せることができるか、家族のビザも取れるか、については異なります。特定技能1号、技能実習は家族(配偶者、子)を本国から呼び寄せることができない在留資格です。しかし、現実的には、技能実習生と特定技能1号の方が結婚する場合、そして子供が生まれた場合に、親子ともども日本に居られるのか、という法の枠内にとどまらないケースが今後出てくると思います。

2021年10月18日

出入国状況 2021.9.20付公表

現在の上陸拒否等の状況を簡潔にまとめました。(10/4時点の最新情報:R3.9.20公表)


・上陸拒否対象国・地域:160の国と地域  (詳細は以下ご参照ください)       https://www.moj.go.jp/isa/content/001347330.pdf
・上陸拒否でも上陸できる場合(=特段の事情有る場合にあたる)        

  ① 再入国許可(みなし再入国含む)による再入国 

  ② 日本人・永住者の 配偶者又は子

  ③ 外交・公用

  ④ 入国目的に公益性が認められる者⑤ その他人道上の配慮する必要がある者


・ビジネストラック及びレジデンストラック は未だ停止中

よって、新規入国はまだ多くの国から基本的にはできない状態が継続しています。今後は対象国をしぼり、ビジネストラックやレジデンストラックから徐々に再開していくことと考えられます。

 


2021年10月04日