みえてきた≪新制度≫ 育成就労?! & 特定技能

現行の技能実習および特定技能の制度改正を行うにあたり昨年11月に設置された有識者会議は、16回に及ぶ議論を終え、先月末ついに関係閣僚会議へ最終報告書が提出されました。この報告書をベースにしてさらなる議論と検討がなされ法整備が進められることとなると存じます。まだ具体的に詰められていない箇所も多くありますので最終的にどう法制化されるかは、まだまだ不確定ですが、以下に読み取ったことまとめてみました。

◎最終報告書の内容
キーワードは「人権」・「キャリアアップ」・「共生社会」です。
外国人の人権を守りつつ、日本で中長期に活動できるよう(優秀な、やる気のある人材には残ってもらえるよう)に筋道をたてる(キャリアパスを描く)。そして、日本社会で安心して暮らしていけるよう、外国人との共生社会を実現する。国際的な理解を得られる制度にして、日本を就労先として選んでもらえるようにする。これらを実現するためにどうすればよいのか?

実現のために必要な事として、具体的には以下の3点を柱に掲げています。

『人権保護』 

→転籍可能、監理団体、登録支援機関受入れ機関等の要件厳格化

『選んでもらえる仕組みづくり』

→キャリアパスの明確化  

『共生社会の実現』

→日本語能力

◎行政書士目線でポイントを箇条書き
・現技能実習制度は、実態に即した形にするため、制度目的を人材育成と人材確保に変更する。
・技能実習制度という名称はなくなる。『育成就労』という名称を報告書内で提案した。(以下、育成就労という。)
・育成就労(仮称)での在留可能な期間は最長3年になる方向。(現技能実習制度は最長5年)
・ステップアップは、育成就労(3年)→特定技能1号(最長5年)→特定技能2号(更新制限なし)を枠組みとする。
・育成就労から特定技能への移行要件に試験を組み込む。現行では「技能実習2号の良好修了」を要件としているところ、「技能検定試験(3級レベル相当)と日本語試験合格(N4レベル相当)」を要件とする。ただし当面の間は移行期間として講習受講で可とする特例措置を設ける。
・特定技能1号から特定技能2号への移行要件には、「特定技能2号評価試験と日本語試験(N3レベル相当)」とする。ただし分野ごとに要件の上乗せを可とする。
・育成就労の受け入れ対象分野は新たに設定する。育成就労と特定技能と分野を一致させる。
・育成になじまない分野は除外する。
・育成就労ではキャリアアップの観点から、現行の技能実習制度よりも幅広い業務に従事することができるようにする。
・育成就労期間中の自己都合による転籍を条件付きで可能とする。
・監理団体、登録支援機関の要件、体制等を見直し、これら関係機関の監理・保護・支援の役割を厳格化する。また、労基署等関係機関との連携を強化することで、法令違反等に厳格に対応する。
・育成就労についても、受入上限数を設定する。
・企業単独型技能実習については別の枠組みを設けることを検討。

◎最終報告書の概要及び全文は、下記サイトからご覧いただけます。 
出入国在留管理庁 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議:
https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00033.html

2023年12月21日